アート集団・チームラボが、京都市南区に常設型の新たな没入型ミュージアム「チームラボ バイオヴォルテックス 京都」を2025年秋に開館すると発表した。
本施設は、京都市が推進する「京都駅東南部エリアプロジェクト」の一環として誕生するもの。
従来の“物質としての作品”という枠組みを超え、観る者の身体や認識そのものを作品の一部として取り込むような、新たなアート体験を目指しているという。
「環境が生む秩序」が創り出す存在──チームラボが新作を多数発表
同ミュージアムには、既存のチームラボの代表作に加えて、日本未公開を含む新作も多数展示予定。そのうちいくつかの作品については、すでに公開されている。
チームラボ《Massless Amorphous Sculpture》© チームラボ
「Massless Amorphous Sculpture」は、泡の海から生まれ、空間中に浮かぶ巨大な塊。物理的には触れられず、壊されても自らを修復し続ける存在。「石ころ」のような安定した構造物とは異なり、環境によって生まれ、変化する“高次の彫刻(High Order Sculpture)”という概念を具現化する。
「質量のない太陽と闇の太陽」では、光と闇の球体が空間を満たし、触れようとする動きに呼応して連鎖的に変化。物理的な球体は存在せず、光と認識、そして環境によって形成される“認識上の彫刻(Cognitive Sculpture)”として、人間の知覚にのみ現れる。
チームラボ《Morphing Continuum》© チームラボ ※参考画像
「Morphing Continuum」は、個々の要素が時間・空間を超えてつながり、ひとつの存在を生み出す作品。輝く球体が連続的に構成を入れ替えながらも、全体としての“存在”が保持され続ける。ここでも「存在とは何か」という問いかけが軸となっている。
「Traces of Life」は、鑑賞者の足跡が空間に軌跡として残り、時間とともに作品の一部へと成長していく。人がいなければ成立しないこの作品は、参加型かつ生成的なアートとして、空間に痕跡=生命の存在を刻み込む。
京都から世界へ──文化と若者の新たな発信拠点へ
「チームラボ バイオヴォルテックス 京都」は、京都・大阪に拠点を持つ複数企業との共同事業によって運営される。
市有地を活用したこの施設は、アートミュージアムやアートセンターを含む複合文化施設として整備され、京都駅東南部エリアを拠点に、文化芸術・若者を基軸とした街づくりに貢献するという。
なお、チームラボは、2025年4月18日にアラブ首長国連邦(UAE)の首都・アブダビにアートプロジェクト/巨大施設「teamLab Phenomena Abu Dhabi」(チームラボ・フェノメナ・アブダビ)をオープンしたばかりだ。
芸術の概念を更新しながら、京都という歴史と文化の交差点から世界へと発信していくチームラボの挑戦に注目が集まっている。

この記事どう思う?
0件のコメント